No.7 水田除草対策について
ふくしま未来 TAC情報 No.7
水田除草対策【散布時期と除草剤選びが肝心】
平成30年5月10日
JAふくしま未来 営農部
稲作農家の悩みのタネのひとつは雑草との闘いです。田植えが終わり、一段落すると「草が枯れない」と毎年悩んではいませんか?水稲用除草剤の上手な使い方をして雑草発生を抑制しましょう。
基本ポイント
1.健全な苗を育て、丁寧な代かきにより均平な田んぼにする。
2.昨年発生した雑草の種類に応じた除草剤を選択する。
3.発生している雑草の状況(発生の種類、発生の時期、葉齢)を把握し、それにあった除草剤を選択する。
4.使用する除草剤の適用内容や注意事項をよく読んで、選択した除草剤が最も効果を発揮できる
時期を逃さずに使用量や使用条件を守って、きっちり均一に散布する。
5.除草剤散布後の水管理(7日間止水など)を着実に実行する。
除草剤の特徴を知り、上手に防除を!
1.水稲除草剤の使用時期
市販されている初中期一発剤(除草剤)には使用時期とノビ工の葉齢が記載されており、使用時期の晩限は薬剤の効果が期待できる最大の葉齢にノビエが達するまでの日数で決められています。
ノビエの葉齢は有効積算気温と密接に関係しており、葉齢はおよそ1週間で1葉ほど進みます。代かきからの気温によってはノビ工の生長が早まり、薬剤が効かなくなってしまう場合があるので、なるべく早めの散布を心がけます。稲の薬害が発生する恐れがあるので使用時期の早限(田植え後何日から)は必ず守りましょう。
2.水稲除草剤の効果を高めるポイント
除草剤を効果的に効かせるために怠ってはならないのが水管理です。水稲用除草剤は、水が薬剤の作用によって田面一面に広がり、被膜をつくることで効果が現れるように設計されています。そのため代かきがきちんと行われず、田面の凹凸が多い場合や、全体に高低差があり一面に水が張れないような場合は、水面から露出している部分は薬剤が全く効かないことになります。除草剤を使用する時は、田面が水面から出ないように十分水を張ってください。
除草剤散布前に水深3~5㎝程度になるよう入水し、水口、水尻を止めます。とくに、フロアブル、ジャンボ剤、豆つぶ剤を使用するときは、薬剤が田んぼ中に十分広がるよう、水深5~7㎝程度入水します。除草剤散布後は3~4日間は水口・水尻を止めたままで湛水状態を保つようにして、散布後7日間は落水・かけ流しをしないようにしましょう。水、気候、水田の条件に応じて適した剤型を選びましょう。
3.水稲除草剤の選び方のポイント
種類 |
使用時期 |
持続期間・ポイント |
初期剤 |
移植7日前、移植後の雑草発生前(発生始期)、生育初期(ノビエ1.5葉期) |
15~25日 体系処理 |
一発処理剤 |
移植直後、雑草の生育初期(ノビエ1.5葉期~3葉期) |
30~45日 |
中期剤 |
雑草の生育初期(ノビエ1.5葉期~3葉期) |
体系処理 |
後期剤 |
水稲の有効分げつ終止期から幼穂形成期 |
残草がある場合 |
①しつこい!多年生雑草の防除には体系処理
塊茎で増殖する多年生水田雑草のクログワイやオモダカは、一発除草剤の効果がきれる7月以降になっても発生します。多年生雑草がみられる田んぼでは、一発除草剤の後に中・後期剤を散布するなどして、対処します。特にクログワイは放っておくと分株して田んぼ全体にまん延する恐れがありますので、徹底的な防除に取り組みましょう。
②SU抵抗性雑草対策
水田雑草のイヌホタルイやコナギ、アメリカアゼナの中には、除草剤に抵抗性をもつタイプがあります。これらは、スルホニルウレア系除草剤成分(SU剤)に対して抵抗性があるため、SU抵抗性雑草とよばれています。SU抵抗性雑草がみられる田んぼでは『SU抵抗性に効果のある』一発処理剤を使用してください。この除草剤はSU抵抗性にも有効な成分を含んでいますので、その効果を利用してうまく抵抗性雑草を抑えることができます。
選択のポイントは雑草の発生具合や作業体系で
あまりにもたくさんの除草剤があるので、使用する除草剤を選択するのも迷います。選択のポイントは、雑草の発生具合や経営規模による作業体系に合わせて、初期剤+初中期一発剤の体系使用、あるいは初中期一発剤の単独使用を選択するのが、基本となります。
詳しくは、営農指導員へ問い合わせください。農薬を使用する際は、ラベルに記載の登録内容(使用時期、使用量等)をよく確認し、使用して下さい。防除日誌への記載漏れの無いように、農薬散布後は忘れずに防除日誌へ記帳しましょう。
4.中間追肥について
中間追肥を施用する場合は、あらかじめ基肥を控えている水田のみとし、それ以外では、施用しないでください。
時々「田植え後しばらくしても葉色が出てこない。分げつが遅い」という声が聞かれます。これは主として苗側に原因があり、根がまだ十分発達していないことなどが主な要因です。きちんと基肥を施用した水田では、少し待てば肥効が現れてきます。
中間追肥はなるべく施用しないで、穂肥を分肥するほ場では穂肥の施用へ向けて健全な稲姿を目指すようにしてください。
営農部 農業振興課
〃 米 穀 課